きみと秘密を作る夜
「あんたなんかもう友達だとは思わない」


吐き捨てて行ってしまうみんなの背中を見送った。



なぜ麻衣ちゃんが泣いているのか、『嘘つき』とはどういう意味なのか。

気にはなったけど、どうでもいいとも思った。


別に友達なんて必要ないし。

それより私は早く、晴人を探さなくてはいけないのだ。



息を吐き、教室の方に向かおうとしていたら、今度はいきなり腕を引っ張られた。



「ちょっときて」


ゆっこと沙耶ちゃんだった。

わけがわからぬまま、私はもつれる足で、校舎の端まで連れて行かれる。


まだ体中が痛い私は、小走りするだけでも息が上がった。



「リナ。正直に話して」


ゆっこと沙耶ちゃんは、息も切れ切れの私の前で、腕を組む。

どうやら逃げられそうもない。



「話すって、何を?」

「その怪我のことだよ」

「だからぁ、これは階段から落ちて」

「ほんとのこと話してって言ってんのよ!」


ゆっこの口調は、私を責めるようなもの。

途端に嫌な汗が背筋を伝う。



「沙耶のお父さん、消防士なの。森の中で、あんたを救助したって。そこにハルも一緒だったって。ねぇ、これってどういうこと?」
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