きみと秘密を作る夜
痛み止めが切れたのと、疲れで、私は5時間目を保健室で過ごした。
「あら、そこ、血が滲んでるわね。絆創膏、変えとこうか」
養護教諭は私の足を指差した。
ガーゼの部分は、真っ赤に染まってしまっていた。
右手で絆創膏を剥がす。
「念のため、消毒もしときましょうね。ちょっと沁みるかもしれないけど」
噂を知ってか知らずか、養護教諭は優しい顔。
「ありがとうございます」と、私が言った時だった。
バンッ、と保健室のドアが開いた。
「先生、今すぐきてください! 生徒が体育の授業中に転倒して頭を打って!」
慌てた先生たちが、私を忘れて保健室を出て行く。
私の足の血は、押さえるものを失って、血を垂らしていた。
仕方なく、自分で絆創膏を貼ろうと思ったけれど、右手だけでは上手くいかない。
ぐしゃぐしゃに貼り付いてしまった絆創膏をゴミ箱に捨てた時、またドアが開いた。
「あ、先生? 絆創膏さ、やっぱり自分じゃ」
言いながら顔を上げて、驚いた。
そこにいたのが晴人だったから。