きみと秘密を作る夜
「てかさ、だったらリナちゃんとの噂って何だったわけ? 意味わかんないんだけど」

「何かさぁ、みんなが言うには、ほんとはリナがハルくんを夜の森に呼び出したんじゃないかって」

「えー?」

「で、コクったけどフラれたから、腹いせに自分で怪我して心配してもらおうと思ったんじゃないかって。でもハルくんは、結局は矢野と付き合い始めちゃった、みたいな?」

「うわー。だとしたら怖すぎでしょ。でもリナちゃんってたまに何考えてるかわかんないとこあったし、ありえる話だよね」


私はたまらず席を立った。


私のことなら何を言われたって許せる。

だけど、晴人のことは別だ。



「晴人……」


晴人は本気で私とのことを終わりにさせるつもりなのか。

いや、晴人の中ではもう、すでに終わってしまっているのかもしれない。


ちゃんとここにいるのに、なのに存在してないみたいな私。



膝から崩れるように、私は廊下の隅にへたり込んだ。

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