きみと秘密を作る夜
「顔可愛いし。お前とは違ってワガママじゃねぇし。何の文句もねぇ、最高のカノジョだよ」


晴人さえいればよかったのに。

なのに、私があの時、晴人の手を離してしまったから?



「じゃあ、私とのことは何だったの?」


声を絞ってそれを聞く。

晴人ははっきりと言葉にした。



「暇だったし。あと、ヤリたかったし? それで手近にいたのがお前だっただけ。別に俺にとっては誰だってよかった」

「だって、約束したじゃない」

「あんなのお前が喜ぶと思って言っただけだろ? いちいち本気にすんなよ。つーか、こういうの本気でうぜぇから」


吐き捨てるように言い捨てられた。



ヤリたかっただけ?

本当は誰でもよかった?


だったら、今まで私たちの日々は、一体、何だったの?



輝いていたこれまでが、急に色を失い、音を立てて崩れていく。



「俺は美姫のことが好きなんだ。だからもう、お前なんか必要ねぇの」
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