きみと秘密を作る夜
冬の音
吐き出した息が白くにじむ。
今年の冬は、例年よりも寒いらしい。
「いってきまーす」
誰にともなく言って、玄関を出た。
私はあれから、胸下まであった髪を肩までばっさり切った。
額の傷は少し痕が残ったが、ファンデーションを塗ったらわからない程度には隠れてくれる。
メイクをした顔は、あの頃とは違う顔だ。
晴人への気持ちは、もう、何だかよくわからない。
星の輝きと同じように、もしかしたら消えているのかもしれないけれど、まだ少しだけ光が残っているような、そんな感じ。
私は、今、生きているのか死んでいるのかすら曖昧な毎日を、ただ繰り返しているだけだ。