嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する
俺らしくない。もっとしゃんとしろ。
「ねえ仁くん」
ベッドに寝転がったところで花帆が切り込んできた。
「私、仁くんと婚約しているって職場のみんなには内緒にしていたの。仁くんはそうじゃなかった?」
「あえて公表はしていない」
別に知られてかまわないと思っていたけれど、花帆が内緒にしているのはなんとなく気づいていたし、俺は職場の人間にプライベートな話はしないから、必然的に秘密事になっていた。
「それなら阿久津さん変に思ったんじゃない?」
「そうかもしれない」
「もうっ、そうかもしれない、じゃないでしょ」
珍しく怒っている。
「悪かった」
花帆はむくれた顔をして黙った。
そんな顔も可愛いくてにやけそうになる。
花帆にとって阿久津くんは直属の上司で距離が近いため由々しき事態なのかもしれない。だが俺にとってはふたりの関係がバレたことより、花帆が阿久津くんと仕事帰りにデートしたことのほうが大問題で。
しかもsyusyuだと? 花帆が好きそうだから、今度ふたりで行こうかと密かに計画していたのに。
阿久津くんに先を越された俺の立場といったら。情けなくて腹が立つ。
「ねえ仁くん」
ベッドに寝転がったところで花帆が切り込んできた。
「私、仁くんと婚約しているって職場のみんなには内緒にしていたの。仁くんはそうじゃなかった?」
「あえて公表はしていない」
別に知られてかまわないと思っていたけれど、花帆が内緒にしているのはなんとなく気づいていたし、俺は職場の人間にプライベートな話はしないから、必然的に秘密事になっていた。
「それなら阿久津さん変に思ったんじゃない?」
「そうかもしれない」
「もうっ、そうかもしれない、じゃないでしょ」
珍しく怒っている。
「悪かった」
花帆はむくれた顔をして黙った。
そんな顔も可愛いくてにやけそうになる。
花帆にとって阿久津くんは直属の上司で距離が近いため由々しき事態なのかもしれない。だが俺にとってはふたりの関係がバレたことより、花帆が阿久津くんと仕事帰りにデートしたことのほうが大問題で。
しかもsyusyuだと? 花帆が好きそうだから、今度ふたりで行こうかと密かに計画していたのに。
阿久津くんに先を越された俺の立場といったら。情けなくて腹が立つ。