嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する
　仁くんとの関わりが絶たれてからも、私は事あるごとに杏ちゃんから彼の情報を引き出していた。

　そこで得たなかで今でも私を悩ませているものがある。それは仁くんが一生ひとりでも構わないと公言していたという事実。

　あからさまに仁くんに避けられているのは分かっていて、杏ちゃんに、仁くんに嫌われているかもしれないと相談したところ、『仁は女嫌いだから』と説明された経緯がある。

　聞かされたときはショックと同時に安堵した。仁くんが恋人を作る可能性が極端に低いのなら、私の永遠の失恋も遠のくと思ったから。

　でも今は状況が違う。婚約者になり、このままいけば仁くんのお嫁さんになる。最高にハッピーなはずなのに、彼の愛情は一生受けられない可能性があるのだ。

　やっぱり一度、きちんと話し合った方がいいよね。どういうつもりで私とのお見合い話を受けたのか、今後どういう夫婦関係を望んでいるのか。

　聞くなら次の休みである月曜日がいい。

　それまでになにを言われても受け止める覚悟をして、そのうえで仁くんと結婚しようと胸に誓った。
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