嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する
 花帆が俺の腕を掴んだところでハッと我に返り、噛みついていた熱い唇から離れた。

 無意識に手が花帆のパジャマの中に侵入して、吸いつくような滑らかな肌をなぞっていた。

 危ない。順番を間違えていろいろやらかすところだった。

 虚空を仰いで気持ちの昂りを落ち着かせる。

「今後、こういうのを、嫌じゃなければしたいんだけど」

「ど、どうぞ、ご自由に」

 カチコチに固まった花帆はおかしな返事をして、真っ赤な顔を両手でパタパタと扇いだ。

 少女のようであったり、大人の女性らしい色気を出したり、不思議な魅力がある子だと思う。

「それなら好きにさせてもらう」

 花帆の言葉をありがたく受け取ると、花帆はこくこくと何度も頷いて、やっぱり身を小さくしていた。
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