【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
「先に宣言したろ? もしもの時はこうするって」
そうだけど……っ!!
ホントに抱えるなんて、恥ずかしすぎるよこんなの!
虹くんは、問答無用で一直線に廊下を走り出した。
「……お、重いから! 腕が疲労骨折しちゃうかもしれない!」
「どこがだよ」
虹くんの顔は見えなかったけれど、微かに笑った気がした。
「もっと飯食って? 軽すぎ」
そう言って、私を担ぐようにしてそのまま突き当たりまで進んだ。
私の顔は真っ赤で、頭は真っ白で、見えるのは遠ざかっていく真っ暗な廊下。
「……待て!」
そこへ、追いかけてきたのか、その人物の顔がほんの一瞬だけ見えたんだ。
……あれ?
今の人って、まさか。
ううん……ありえない。
会いたくないあの人が、このエスポワールにいるわけがない。