【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
「本当にこの学園に入学していたんだな?」
低く冷淡な声に、一瞬視界が真っ暗になった。
夜のように濃紺な色の髪をした人物が、私に声をかけている。
家にいた頃よりもその髪は伸びていて、毛先がくせっ毛なのは、小さい頃から私と同じだ。
「お兄ちゃん……」
この人は、正真正銘、血を分けた私の兄だ。
全く似ていないと言われ続けてきたとしても。
「全寮生の名簿を見てすぐ気づいた。その前から母さんから聞いていたが、入寮したなら顔くらい出せよ」
キンッと空気が凍る。
黒田 夜空(よぞら)。
私のお兄ちゃんで、私が最も会いたくない人。
「なんで、お兄ちゃんが……?」
私と同じ学園の制服を着ているってことは、そういうことなんだろうけど、動揺を隠せない。