【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
「家を出なくても出来たんじゃないのか? だいたい、母さんがどれだけお前を心配しているか考えなかったのかよ」
お兄ちゃんは変わらず冷ややかな視線を浴びせてくる。
「……っ、お母さんは、関係ないじゃん」
「関係ないだと? 一人ででっかくなったつもりか? 育ててもらった母親を遠ざけるのもいい加減にしろ。まさかお前、まだあのことで──」
「わかってるよ……っ」
捲し立ててくるお兄ちゃんに負けじと声を荒らげた。
あのこと……それは、私のイジメの原因のことを言ってるのだ。
──“魔女の子供なら、これくらい食えるだろ?”
『魔女裁判』と呼ばれたクラスメイトからのイジメ。
イジメにあった日から、お母さんと上手く話せなくなった。
「わかってるなら、途中で投げ出すなよ」
「投げ出すって……何を?」
「ここでの生活だ。自分で決めたことなら、最後まで貫け。あの時みたいに、絶望して引きこもるようなことにならないように」