【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
「笑顔の練習だって?」
「へへっ……」
咄嗟に口角を上げて笑顔を作ってみたものの、
「どこが笑えてんだよ。引き攣ってるよ?」
ぷにぷにと私の頬っぺたを引っ張たりしている。
「ホント、手のかかる奴」
「に、にひくんやめへーー」
「俺はこの前みたいに笑ってほしいんだけど」
「……、」
虹くんは、目尻を下げてふと柔らかい表情を浮かべている。
優しい声音とともに、そっと虹くんの手が離れていく。
……なぜだか、その時私は思い出した。
「聞いてんの?」
「聞いてる……っ、ただ、前に……小学生の頃ね? こうやって、私の頬っぺをつねってきた男子がいたなって……」
たったひとりだけ声をかけてくれた男の子のことだ。
お前は笑うの下手くそだ……って言いながら。