【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
「その男の子だってムッてしてたのに、人に下手くそとか言うから」
虹くんが目を見張った気がする。
そのことを思い出しちゃって、私の強張った力が抜けていく。
虹くんの澄んだ瞳と目が合えば、胸の奥の柔らかい部分が温かくなって、自然と笑みがこぼれた。
「俺はこっちの方が好き」
……えっ?
好き……だなんて、思いもよらない言葉だった。
虹くんに見つめられて、トクンッと高鳴った胸の鼓動が大きくなっていく。
「す、好き……って。それはあの、どういった意味で……好きにも種類があるというか!」
「なんでもねぇ……」
虹くんの表情はすぐにいつも通りツンとしたものへと戻った。
だから、今度は私が手を伸ばして、ぷにっと虹くんの頬をつまんだ。
「……おい。なんの真似?」
「……もちろん虹くんにも仕返し!」
やば……眉間にシワが寄っている。
さすがにこれはマズかったかも……。