【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2


身体を起こして隣に目をやると、案の定、黒田はまだ寝てる。


最初は同じベットで寝ることを躊躇ってたくせに、意外にも寝相が悪いんだよな。

落ちそうになった黒田を抱き止めたこともあるくらい。


……マジで焦る。

寝返りはめちゃくちゃ打つし、たまに俺に足乗っけてくるし……。

何度安眠妨害してくるつもりなわけ?


だけど、今日は違った。



「……お母さん……」



か細く吐き出された声。

ホームシックかよ……。

そう思った直後、うなされているのか、黒田の寝顔が苦しそうに歪んだ。



「……黒田?」



呼びかけるとピクリと反応して、長い睫毛を濡らして涙が頬を伝っていった。



──ほっとけばいい。


今までなら誰に対してもそうだった。

些細なことも全て、無関心でいることが一番楽だから。

それなのに、なんでだよ。


全然ほっとけねぇ……。

< 196 / 369 >

この作品をシェア

pagetop