【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2


「なにって、決まってるだろ。母さんに送るんだ」


「……お母さんに!?」


「当たり前だろう? 引きこもりだった娘が浴衣を着て祭りに来てるなんて知ったら、泣いて喜ぶぞ」



真顔で皮肉じみたことを言ってくる。

そのくせ、お母さんに対する優しさはしっかり伝わってくる。


……ホント、優しいのか優しくないのかわかんなくなる。


しかも、今撮った私の写真を確認して満足そうに頷いてるし。



「そうだ。お前、どうせ小遣いなんてないんだろう。これを使え」



口ごもる私にお兄ちゃんが差し出してきたのは“寮生特別引換券”だ。



「え、これいいの……?」



屋台でも使えるみたい。

お小遣いなんてないから大変ありがたいけど、あの冷血お兄ちゃんがなぜ……?


なんかのワイロか……と考えたけど心当たりなどない。

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