【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
……にしても、驚いたな。
お兄ちゃんがあんなことを言うなんて。
前に翠が言ってた通り、そこまで毛嫌いするほど嫌なお兄ちゃんじゃないのかも。
今までその小さな優しさを私が知らなかっただけなのかな。
お兄ちゃんと向き合おうとしなかったから。
これからは、もっと私からも歩み寄るべきなのかもしれない。
引換券を握りしめて再び足を急がせる。
短冊の方に視線を彷徨わせて、すぐにピタリと止まった。
だって、これだけの人がいようとも、それでも吸い寄せられる。
……見つけたよ、虹くん。
虹くんの姿を目にした途端、トクトクと鼓動が速くなるのが自分でもわかるんだ。
「虹くーん……!」
手を振りながら走っていくと、やっと虹くんがこっちを向いた。