【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
私たちから少し離れた噴水前のベンチ。
そこに現れた人物に私は自分の目を疑った。
ひとりの女性が手を挙げて、お父さんくらいの歳の男の人に駆け寄っていく。
「……黒田? どうした?」
眉をひそめた虹くんの声が遠くで聞こえる。
スカートの裾をギュッと握って、私は言った。
「……あの人、私のお母さんなの」
「……黒田の?」
虹くんに対して頷くだけでも精一杯だった。
動揺を隠しきれない。
どうして、お母さんがここに……?
自宅から二時間は離れている遠いこの場所に。
「それに、あの男の人……私見たことある。引きこもってた時、お母さんが会ってた人だから……」