【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2


「──待て」



けれど、ギュッとすぐに腕を掴まれて、弾けるように虹くんを見上げた。


そしてたちまち曇り出すその表情に、胸騒ぎを覚えた。



「一緒にいるのは、俺の親父だ……」



え……?

聞き間違えかと思った。

だって、虹くん、今なんて……?



「嘘……虹くんの、お父さん……?」



確かめるように繰り返せば、静かに相槌を打たれ、衝撃の事実に私は言葉を詰まらせる。



「黒田の母親と俺の親父が一緒にいるとか、なんだよこれ……」



──こんな偶然があるのだろうか。



「私もビックリだよ……ふたりが一緒にいる理由も、心当たりなんてないし」



それは虹くんも同じで。


訳わかんねぇ、と虹くんは吐き捨てた。

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