【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2


「ここが、旧魔女の部屋……?」



でこぼこの石壁に囲まれて、殺風景だ。

窓もあるみたいだけど、黒っぽいカーテンが閉められてて不気味かも……。


今にも崩れそうな木造のテーブルだけがポツンと置かれてる。



「何もない部屋だね……それに、魔女の部屋とは書かれてないよ……?」



ぐるりと中を見回す虹くんは、何かを発見したのか、窓のそばまで歩いていく。



「……黒田。昔、お前の母親も“魔女”って呼ばれてたって俺に話してくれたよな?」


「う、うん……」



どうして突然、お母さんのことを聞くんだろう。



「これ見て?」



虹くんがライトを向けた場所には、木で造られた古い表札みたいなものが立て掛けてあった。



「……これって」



ボロボロのその表札には名前が彫られていて、私は目を見開いた。

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