【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2


“天沢 広夢”。



「あま……さわ……ひろ、む……? 天沢って、これもしかして……っ」



声に出して読み上げたと同時、



「俺の親父の名前……」


「……待って? じゃあ、お母さんを助けてくれた男の人って、やっぱりホントに虹くんのお父さんってこと?」



それも、ふたりともこの寮の──この学園の出身ということに、私達は心底驚いた。



「……そういうことか」



納得したように虹くんは続けた。



「親父は高校時代、寮生活をしてた。昔は今ほど生徒も多くなくて、小さな寮ひとつだけだったらしい。各階で男女に別れてたみたいだけど、親父がそこの寮長だったって母さんから聞いたことがある」



それがこのエスポワールだとするなら、『魔女の住む棟』と呼ばれている部屋は、昔お母さんが住んでいたのだろうか。

< 310 / 369 >

この作品をシェア

pagetop