【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
“天沢 広夢”。
「あま……さわ……ひろ、む……? 天沢って、これもしかして……っ」
声に出して読み上げたと同時、
「俺の親父の名前……」
「……待って? じゃあ、お母さんを助けてくれた男の人って、やっぱりホントに虹くんのお父さんってこと?」
それも、ふたりともこの寮の──この学園の出身ということに、私達は心底驚いた。
「……そういうことか」
納得したように虹くんは続けた。
「親父は高校時代、寮生活をしてた。昔は今ほど生徒も多くなくて、小さな寮ひとつだけだったらしい。各階で男女に別れてたみたいだけど、親父がそこの寮長だったって母さんから聞いたことがある」
それがこのエスポワールだとするなら、『魔女の住む棟』と呼ばれている部屋は、昔お母さんが住んでいたのだろうか。