【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
旧魔女の部屋を見つけた私と虹くんは、静かに出口へと向かった。
「俺、ずっとお前に言ってなかったことがある」
不意に背中に届いた虹くんの声。
「……虹、くん?」
ピタリと足を止めて振り返れば、窓の外に浮かぶ月を背負った虹くんが、私を見据えていた。
切なさを含んだ瞳が揺れている。
「──いつだって俺の世界は、優しくなんかなかったよ。お前が大地から聞いた通りだ」
──“虹は呪われてる”
「呪われてんだよ、俺。そんなバカげたことあるわけないって思うのに、今でもそうなんじゃねぇかって時々思う……」
目元を隠すようにそっと腕を乗せた虹くんは、短い息を吐いた。
「親父は自分を責めるなって言ってくれるけど、そんなことさえとっくの昔に諦めた。離れないんだ……俺が罵られて、親父が泣いてる中、死んでいった母さんのことも。全部……」