【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
「俺らがミッションを放棄するってことは考えなかったんですか?」
虹くんの言う通りだ。
現に、放棄することも可能だって書いてあった。
「それはふたりを信じるしかなかった。放棄した場合、それまでだってことだよ。俺や母さんにもどうすることも出来ないからな」
本気で嫌なら、退寮覚悟で私は放棄していたかもしれない。
だけど、投げ出さずにいられたのは虹くんが一緒だったから。
「それに、天沢虹……俺は子供の頃キミのことを見かけた」
「……お兄ちゃんが?」
「ああ。学校の帰り道だった。ひどい目にあっているキミを助けてやれもしなかった分際でこんなことを言う資格はないが……ここに来たキミは、当時の綺麗な瞳の色を隠してしまっていて。あの時、手を差し伸べる勇気があったらと後悔した……星七、お前にもだ」
見上げたお兄ちゃんは、いつになく真剣な眼差しをしていた。
虹くんは、なんだか肩の荷がおりたみたいに、微かに笑みを零した。