【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2


「俺と黒田は寮の仕事がある。その打ち合わせするから呼んだんだよ」



すると、不意に助け舟を出してくれた虹くんが私に目で合図をする。



「寮の仕事? 黒井さんも寮生ってこと?」



黒井さんではないけど、私は首がもげそうなほど縦に頭を振った。



「そ、そ、そうなんです!」


「なんだぁー。だよね? それなら嫌でも話さないとだもんね」



改めて、イケメンの主張は抜群の効力を発揮するのだと身を持って知った。


機転を利かせてもらったおかげで、ようやく学校を出て寮へと歩き出す。



「虹くんありがとう……でも、さっきのことだけど、みんなに怪しまれてないかな……」


「誰も俺とお前がワンルームで暮らしてるなんて想像もしてないんじゃない?」



おっしゃる通り。

プリンスと名前すら認知されてない私がルームメイトなんて思うまい。



「そんなことより、バレないように部屋に戻れることだけ考えなよ」


「確かに……わかった! 今から私は陸上選手ね!」


「……好きにしろ」

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