【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
「……虹、くん……?」
私の頬にそっと手を滑らせる。
長くて細い指。
けど、骨ばった男の子の手だ。
ピクッと反応して、触れられた部分がたちまち熱を帯びていく。
「俺の目見て話してくれる奴だってこと」
「……っ、」
ドキンッ、と私の心臓さんが一際大きく高鳴って、緊急事態発生!と知らせてくる。
虹くんの艶っぽい瞳に、吸い込まれそう。
「なんでお前って、俺の目見て話せんの?」
下からすくい上げるように私の顔を覗いてくる虹くん。
「なんでって……」
「大抵の奴は、俺の目を見ようとしないんだよね」
「そ……それはっ、虹くんが、異世界から召喚されたほどの容姿の持ち主だからだよ! だからみんなは……」
「他の奴のことはどうだっていい。黒田は?」
なんで?と……私の髪の先を指でつまむ。
なんでって。
そんなの答えはとても簡単だ。
「私は、虹くんがここにいるからだよ? 目の前に、虹くんがいるもん」
虹くんがここにいるから虹くんを見ている。