きっと、月が綺麗な夜に。
ゆら、ゆら。
ひとたび台風が過ぎてからは、あんなに暑かった気温が一気に秋へと移行していく。
美矢と出会ってからの夏があっという間過ぎて、鮮やかすぎて、夏がまだまだ終わらなければ良いのにとすら思う。
『あの日』から顔を少しあげることが出来て、そして、美矢を好きな自分を認めてあげることが出来てから何か大きく変わったかと言うと、そうでもなくて。
抜糸は台風の日から2週間後とか、10月の収穫祭に向けて子供たちが和太鼓の練習に入ったとか、ケンゴの進路がお母さんに正式にオーケーをもらえた、とか、数日間で動いたのはそういうこと。
そもそも美矢は高校卒業したてで、18歳か、誕生日を迎えていても19歳の立派な未成年だ。
そんな少女に25歳小学校教諭が手を出すなんてモラルが欠けている。彼女が大人になるのを待ってから考えても別に、遅くないだろう。
そもそも、好きだと認めただけで付き合いたいとか、そういうことでもないのだから。
別に、ゆっくりで良いんと思う。僕のペースで、ゆっくりと。