きっと、月が綺麗な夜に。
オープニング映像が終わると、美矢の顔が映らないように上手く撮影された映像が流れる。さっきとは違う優しげなBGMが流れ、目的地へと向かう美矢にテロップで質問が流れた。
『どうして、この島に?』
「別に、理由は無いよ。高校出てから今まで色んなところに気分で放浪してて、流れで」
おそらく、ケンゴと会話をしていたのだろう。ケンゴの会話の部分はテロップに変わっている映像で、美矢もリラックスした受け答えだ。
「ええ、凄いね。普通に灯台に話しながら行ってただけだったのにこんな風になるんだ」
ケンゴから見た世界が、美矢が、温かなフィルターと編集と音楽に包まれて、宣言した通りのノスタルジックな気持ちに包まれるような動画に、僕も美矢も、ノートパソコンから目が離せない。
いつの間にか流しそうめんの準備を中断したりょーちゃんも混ざって、4人での鑑賞会が続く。
やがて目的地へとたどり着いた美矢は、灯台の傍へあぐらをかいて、大きなギターケースから僕の父の忘れ形見を取り出した。
BGMがなり止み、ほんの数秒、遠くで波打つ海の音だけが世界を包む。
そして、画角が変わり、美矢の斜め左後ろ下から体を映したその画角で一度、最初の一音を確かめるように弦にピックが落とされ、微かに美矢が息を吸い喉を鳴らす音が響く。
『どうして、この島に?』
「別に、理由は無いよ。高校出てから今まで色んなところに気分で放浪してて、流れで」
おそらく、ケンゴと会話をしていたのだろう。ケンゴの会話の部分はテロップに変わっている映像で、美矢もリラックスした受け答えだ。
「ええ、凄いね。普通に灯台に話しながら行ってただけだったのにこんな風になるんだ」
ケンゴから見た世界が、美矢が、温かなフィルターと編集と音楽に包まれて、宣言した通りのノスタルジックな気持ちに包まれるような動画に、僕も美矢も、ノートパソコンから目が離せない。
いつの間にか流しそうめんの準備を中断したりょーちゃんも混ざって、4人での鑑賞会が続く。
やがて目的地へとたどり着いた美矢は、灯台の傍へあぐらをかいて、大きなギターケースから僕の父の忘れ形見を取り出した。
BGMがなり止み、ほんの数秒、遠くで波打つ海の音だけが世界を包む。
そして、画角が変わり、美矢の斜め左後ろ下から体を映したその画角で一度、最初の一音を確かめるように弦にピックが落とされ、微かに美矢が息を吸い喉を鳴らす音が響く。