きっと、月が綺麗な夜に。



クロミはトメ子さんの時のことを学習したのか、ゆっくり、僕たちが見失わない速度で、知性を持って目的地まで案内をして行く。

小さな二人の冒険者と僕は、ジリジリと夕暮れ時を迎え始めた空の下、しばし、この凛とした案内者に誘われ、そして、とうとう目的地へとたどり着いたようだ。


ここは学校から点と点で結べる位置にある、この島の大きな灯台だ。

深い蒼が広がる海の手前の大きな真っ白の灯台。そこの更に手前で『なあん』と3度目の鳴き声を上げた案内者クロミは、ぴゅうん、と猫らしいすばしっこいスピードで灯台の更に近くへと駈け出して行く。


「おれたちも行こう!ねーちゃん!こじろーせんせー!」

「う、うん」


このパーティで一番小柄で、でも一番勇敢な勇者貴人は、恐れるものなどないかのようにクロミを追っかけて走り出す。


「貴人!気をつけて!あんたすぐ転ぶんだから!」


さすがお姉ちゃん。しっかりした口調で貴人を注意した千明もその後に続き、僕も、急いで自転車を停めて二人の後を早足で追っかけた。
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