きっと、月が綺麗な夜に。
「大丈夫だぞ!俺が預かってやるからな。この子もお前も!……よし、ひとまず客間に布団の用意だ。千明と貴人も悪いが少し手伝ってくれるか?」


昔から変わらないその無条件の温かな優しい笑顔で僕も、来訪者の全ても受け入れるりょーちゃんに、その場にいた全員の顔も綻ぶ。

そして、ツンデレ猫で有名なあのクロミでさえ、りょーちゃんがどんな考えなのか読んだように、返事の代わりにその触れた掌にスリスリと顔を寄せた。


しかし、一体僕の背中で眠りこくるこの子は何者なのだろうか。この少女が起きてから聞かなければならないことが沢山ある。

ただ、ひとつだけわかることは、人に懐かないクロミがここまで世話をかけるほどの何かをこのあどけない少女が持っている、ということだ。


僕のTシャツをいつの間にかぎゅ、と握りしめている僕よりも柔らかそうなその手から伝わる温度はぽかぽかと温かく、少女が確かに生きていて、この島に存在を成していると力強く告げているようだった。
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