きっと、月が綺麗な夜に。
「君、名前は?どこから来たの?うちの島の子じゃ、ないよね?」
「ん……まっへ、んぐん」
「あ、ごめんね。お水飲んで落ち着いてからでいいよ」
「んく、ごく……あたし、みや。美しいに弓矢の矢で、美矢」
口を落ち着かせ、やっと初めて会話して、改めて目が合う。
この少女……美矢は、あまり喋りが得意なタイプではないのかもしれない。会話に疲れさせないよう、ひとつずつ、話を進めなければ。
「えっと、美矢、さん。僕は虎治郎。動物のあの虎に、治るに普通の郎で、こじろう。呼ぶのは普通に名前でも、りょーちゃん……あの飯炊きおじさんとかはとらって呼んだりしてる」
「おい、誰が飯炊きおじさんだ!……美矢、俺はとらの父親のりょーちゃんこと涼助です。涼しいに助けると書きます!この島で機械の修理から掃除の手伝い、家事代行となんでも承る冴島屋経営してます!よろしく」
僕が美矢との距離感を図りつつ会話をしているのなんて御構い無しに、誰にもらったのか分からない白のフリフリのエプロンを身にまとったガテン系の中年りょーちゃんは、無遠慮にづかづかと距離を縮め、美矢のその小さくて柔らかそうな白い手を握り、上下に大きく振るった。
「あ、その……よろしく、どうぞ」
そのエプロンのフェミニンな白と、りょーちゃんの筋肉質な黒のミスマッチな風貌に戸惑いつつ、けれど、嫌な感じではなく返事をした美矢は、少なくとも、悪い人間ではないように思える。
「ん……まっへ、んぐん」
「あ、ごめんね。お水飲んで落ち着いてからでいいよ」
「んく、ごく……あたし、みや。美しいに弓矢の矢で、美矢」
口を落ち着かせ、やっと初めて会話して、改めて目が合う。
この少女……美矢は、あまり喋りが得意なタイプではないのかもしれない。会話に疲れさせないよう、ひとつずつ、話を進めなければ。
「えっと、美矢、さん。僕は虎治郎。動物のあの虎に、治るに普通の郎で、こじろう。呼ぶのは普通に名前でも、りょーちゃん……あの飯炊きおじさんとかはとらって呼んだりしてる」
「おい、誰が飯炊きおじさんだ!……美矢、俺はとらの父親のりょーちゃんこと涼助です。涼しいに助けると書きます!この島で機械の修理から掃除の手伝い、家事代行となんでも承る冴島屋経営してます!よろしく」
僕が美矢との距離感を図りつつ会話をしているのなんて御構い無しに、誰にもらったのか分からない白のフリフリのエプロンを身にまとったガテン系の中年りょーちゃんは、無遠慮にづかづかと距離を縮め、美矢のその小さくて柔らかそうな白い手を握り、上下に大きく振るった。
「あ、その……よろしく、どうぞ」
そのエプロンのフェミニンな白と、りょーちゃんの筋肉質な黒のミスマッチな風貌に戸惑いつつ、けれど、嫌な感じではなく返事をした美矢は、少なくとも、悪い人間ではないように思える。