きっと、月が綺麗な夜に。
ホースから放たれる水しぶきが、太陽の光を貰い受けきらめき、ピーマンの葉に虹をかけて行く。
その虹の少し手前にはぼんやりとクロミの姿。あれ、もしかして、めちゃくちゃ絵になる構図じゃない?なんて、思ってみたり。
「イケメンにキラキラ水しぶき、サンサンの太陽、可愛い黒猫に自家栽培。何これ、ドラマの世界みたい」
そこに新しい心地よさ。クロミの鳴き声もそうだったけど、抑揚なくて無気力で高くも低くもない声が妙に、すとん、と僕の世界に座って馴染むんだ。
振り返ると、白い七分袖のTシャツに、白い膝丈の太めのパンツ、という全身真っ白の、この島には馴染まない洒落た風貌の少女が縁側から、決して太くはないのにやわっこそうな白い足を庭へと投げでしていた。
「残念。イケメンじゃなくてただの僕で。……おはよ、美矢。朝早いんだね」
「……はよ、とら。昨日バカほど寝たから朝は苦手じゃないけど、何か頭ぼわーっとしちゃって困るよね」
「きっと低血圧だね。大丈夫。この家ではあの飯炊きおじさんの栄養満点のご飯しか出ないから、きっとすぐ治るよ」
昨日少し話したおかげか、それとも、彼女の身にまとう不思議なやわっこい心地よい空気感のせいか、自然と会話がうまく行く。
彼女も少しは僕にそう思ってくれたのか、その瞼でくにゅん、と放物線を描いて微笑んだ。美矢は、笑った顔まで猫のような子だ。
その虹の少し手前にはぼんやりとクロミの姿。あれ、もしかして、めちゃくちゃ絵になる構図じゃない?なんて、思ってみたり。
「イケメンにキラキラ水しぶき、サンサンの太陽、可愛い黒猫に自家栽培。何これ、ドラマの世界みたい」
そこに新しい心地よさ。クロミの鳴き声もそうだったけど、抑揚なくて無気力で高くも低くもない声が妙に、すとん、と僕の世界に座って馴染むんだ。
振り返ると、白い七分袖のTシャツに、白い膝丈の太めのパンツ、という全身真っ白の、この島には馴染まない洒落た風貌の少女が縁側から、決して太くはないのにやわっこそうな白い足を庭へと投げでしていた。
「残念。イケメンじゃなくてただの僕で。……おはよ、美矢。朝早いんだね」
「……はよ、とら。昨日バカほど寝たから朝は苦手じゃないけど、何か頭ぼわーっとしちゃって困るよね」
「きっと低血圧だね。大丈夫。この家ではあの飯炊きおじさんの栄養満点のご飯しか出ないから、きっとすぐ治るよ」
昨日少し話したおかげか、それとも、彼女の身にまとう不思議なやわっこい心地よい空気感のせいか、自然と会話がうまく行く。
彼女も少しは僕にそう思ってくれたのか、その瞼でくにゅん、と放物線を描いて微笑んだ。美矢は、笑った顔まで猫のような子だ。