きっと、月が綺麗な夜に。
職員室の奥から首を振るとカタカタ不穏な音のする扇風機を拝借し、僕と武明先生は体育館へと向かう。
「いやあ、暑いとは言ってもね、とらちぃよ。こっちの夏は東京の夏と違ってかなり『気持ちい』暑さなんだぜ?何が違うって、そりゃ言葉には出来ないが」
「ああ、去年のこの時期に研修で東京に行ったので気持ちは分かります。人の数とかビル風とか照り返しとか……諸々、田舎の方が温度は高くてもマシですよねぇ」
「いやー、あの便利な土地からここに越した時は戸惑いもあったが慣れれば最高だよな!体育館も窓全開にすれば割と涼しいもんだ!わはは!」
確かに今日は良い風が吹いているのか、体育館に入ってくる風が心地よく、いつもは鬱陶しいような気もする蝉の声も今日が良い1日を奏でている音楽な気がしてしまうものだ。
僕たちは倉庫から、『秋の運動会』と書いてある布が被さったコーナーから備品達を運び出す作業から開始した。
「とらちぃ、備品数チェックと拭き掃除どっちする?」
「去年も武明先生それ聞いてチェックリストの数字の欄1個ズラしてやり直しになったでしょ。先生は拭き作業から入ってくださいよ」
僕は首回りにタオルを巻きつけながら去年の惨劇をチクチクと刺すように言うと、お得意の『わはは』を武明先生がかました。
「いやあ、暑いとは言ってもね、とらちぃよ。こっちの夏は東京の夏と違ってかなり『気持ちい』暑さなんだぜ?何が違うって、そりゃ言葉には出来ないが」
「ああ、去年のこの時期に研修で東京に行ったので気持ちは分かります。人の数とかビル風とか照り返しとか……諸々、田舎の方が温度は高くてもマシですよねぇ」
「いやー、あの便利な土地からここに越した時は戸惑いもあったが慣れれば最高だよな!体育館も窓全開にすれば割と涼しいもんだ!わはは!」
確かに今日は良い風が吹いているのか、体育館に入ってくる風が心地よく、いつもは鬱陶しいような気もする蝉の声も今日が良い1日を奏でている音楽な気がしてしまうものだ。
僕たちは倉庫から、『秋の運動会』と書いてある布が被さったコーナーから備品達を運び出す作業から開始した。
「とらちぃ、備品数チェックと拭き掃除どっちする?」
「去年も武明先生それ聞いてチェックリストの数字の欄1個ズラしてやり直しになったでしょ。先生は拭き作業から入ってくださいよ」
僕は首回りにタオルを巻きつけながら去年の惨劇をチクチクと刺すように言うと、お得意の『わはは』を武明先生がかました。