きっと、月が綺麗な夜に。
さっき、僕に差し伸べられた柔らかな右手がハンドルをスムーズに切る。
初心者とは思えないくらい優しい運転と、彼女の心地よい歌声で、少しひりひりした背筋はあっという間にほぐれ、やがて緩やかに眠気が体を襲い始めた。
「いーよ、寝ても」
「ん。ありがとう。じゃあ、少しだけ」
これが男性であればかなりモテるであろう美矢の一言に、うつらうつらとしていた眼を完全に休ませる。
耳が、体が、心がふわりと浮上し、現世からゆっくりと意識が遠のく。
雨の後、記憶がフラッシュバックした後はあまり良い睡眠を取ることは出来ないのだけれど、何だか、今なら大丈夫な気がする。
彼女と出会ってまだ浅い時間しか過ごしていないのに、僕の心は彼女に完全に信頼を寄せているのが自分でも驚くくらいに分かってて、それでいいとすら思えてしまう。
彼女にも、僕よりずっと暗くて根深い何かがあるように思えるのに。
いや、もしかしたら思えるからこそ、自分の底のそれが、彼女のそれと共鳴しているからこそ、なのかな。
初心者とは思えないくらい優しい運転と、彼女の心地よい歌声で、少しひりひりした背筋はあっという間にほぐれ、やがて緩やかに眠気が体を襲い始めた。
「いーよ、寝ても」
「ん。ありがとう。じゃあ、少しだけ」
これが男性であればかなりモテるであろう美矢の一言に、うつらうつらとしていた眼を完全に休ませる。
耳が、体が、心がふわりと浮上し、現世からゆっくりと意識が遠のく。
雨の後、記憶がフラッシュバックした後はあまり良い睡眠を取ることは出来ないのだけれど、何だか、今なら大丈夫な気がする。
彼女と出会ってまだ浅い時間しか過ごしていないのに、僕の心は彼女に完全に信頼を寄せているのが自分でも驚くくらいに分かってて、それでいいとすら思えてしまう。
彼女にも、僕よりずっと暗くて根深い何かがあるように思えるのに。
いや、もしかしたら思えるからこそ、自分の底のそれが、彼女のそれと共鳴しているからこそ、なのかな。