きっと、月が綺麗な夜に。
そして最後にとっておき。あの、猫の柄のデザインの爪ヤスリを美矢に手渡す。
「これは?」
「ギタリストの第2の相棒、かな。開けてみてよ」
喜んでくれるといいな、なんて少しドキドキしつつ、綺麗なパステルブルーの包装をちまちまと開けるその小さな柔らかい手を眺め、やがて現れた爪ヤスリと、触れた手、それから美矢の顔を順に追う。
また、初めて見る顔をした。
そのビー玉みたいなまん丸の、光ると怖いとすら思っていた三白眼の大きな目がちゅるん、と光り、あっという間に頬が赤らんで、への字口がふにゃふにゃ、と動いたその表紙に、心臓が大きく動く。
シンプルに『可愛い』と思ってしまった。女性として、の方で。まだ高校を出たばかりの少女になんて気持ちを抱いてしまったんだ。
「………どう?気に入って、くれた?」
押し寄せた罪悪感を一呼吸と共に外に置き、無理やり顔を微笑ませて尋ねると、美矢はその初めて見る顔のまま、縦に首を振る。
「もち、ろん!ありがとう。大事にする」
「喜んで貰えて良かった。それと、これから、よろしく、ね」
『お客さん』とか『居候』とかじゃなくて、クロミと同じで美矢も新しい家族だよ、なんて僕の言葉に出来ない気持ちが、これだけで伝われば良いのに。
伝わったかは分からないけれど、美矢はもう一度、ふにゃ、と顔を緩め、そして頷いた。
「これは?」
「ギタリストの第2の相棒、かな。開けてみてよ」
喜んでくれるといいな、なんて少しドキドキしつつ、綺麗なパステルブルーの包装をちまちまと開けるその小さな柔らかい手を眺め、やがて現れた爪ヤスリと、触れた手、それから美矢の顔を順に追う。
また、初めて見る顔をした。
そのビー玉みたいなまん丸の、光ると怖いとすら思っていた三白眼の大きな目がちゅるん、と光り、あっという間に頬が赤らんで、への字口がふにゃふにゃ、と動いたその表紙に、心臓が大きく動く。
シンプルに『可愛い』と思ってしまった。女性として、の方で。まだ高校を出たばかりの少女になんて気持ちを抱いてしまったんだ。
「………どう?気に入って、くれた?」
押し寄せた罪悪感を一呼吸と共に外に置き、無理やり顔を微笑ませて尋ねると、美矢はその初めて見る顔のまま、縦に首を振る。
「もち、ろん!ありがとう。大事にする」
「喜んで貰えて良かった。それと、これから、よろしく、ね」
『お客さん』とか『居候』とかじゃなくて、クロミと同じで美矢も新しい家族だよ、なんて僕の言葉に出来ない気持ちが、これだけで伝われば良いのに。
伝わったかは分からないけれど、美矢はもう一度、ふにゃ、と顔を緩め、そして頷いた。