きっと、月が綺麗な夜に。
今日は昔流行った女性ボーカルのバンドのラブバラードだ。
数年前映画に楽曲が使われていたっけな、なんて懐かしさを覚え、僕は美矢の隣という特等席で彼女の円みのある歌声に耳を澄ます。
彼女の歌声の響きが曲にマッチして、目を閉じると歌詞から連想される空気の澄んだ夜の満天の星空が目に浮かぶようだ。
こんな贅沢な日常、贅沢な幸せをたった一本のギターとその歌声で紡ぎ出せるなんて、美矢はとても豊かで美しい。
目を開くと、曲とは違う朝の爽やかな情景が眼前には広がっていたけれど、そっと歌い終わってふう、と息を漏らした美矢が何だか、儚くて美しく見える。
この美しい存在がこの島の満天の星空に、触れるくらい大きくて綺麗な月の光に照らされたらもっと美しいのかな、なんて、すっかり絆された僕は、美矢の耳がギリギリ隠れるくらいの長さのサラサラの黒髪をそっと人差し指ですくい上げ、その小さな耳にかけた。
「あの……な、に?」
「え………うわあ、ごめん!つい、あの、特に意味は無いんだけど、や、うん、はは」
それがとてつもなく恥ずかしい行動だったことに気づいた僕は、あわあわと急かしなく目線を泳がせ立ち上がり、目的だった水撒きに逃げるためにサンダルを足に引っ掛けた。
数年前映画に楽曲が使われていたっけな、なんて懐かしさを覚え、僕は美矢の隣という特等席で彼女の円みのある歌声に耳を澄ます。
彼女の歌声の響きが曲にマッチして、目を閉じると歌詞から連想される空気の澄んだ夜の満天の星空が目に浮かぶようだ。
こんな贅沢な日常、贅沢な幸せをたった一本のギターとその歌声で紡ぎ出せるなんて、美矢はとても豊かで美しい。
目を開くと、曲とは違う朝の爽やかな情景が眼前には広がっていたけれど、そっと歌い終わってふう、と息を漏らした美矢が何だか、儚くて美しく見える。
この美しい存在がこの島の満天の星空に、触れるくらい大きくて綺麗な月の光に照らされたらもっと美しいのかな、なんて、すっかり絆された僕は、美矢の耳がギリギリ隠れるくらいの長さのサラサラの黒髪をそっと人差し指ですくい上げ、その小さな耳にかけた。
「あの……な、に?」
「え………うわあ、ごめん!つい、あの、特に意味は無いんだけど、や、うん、はは」
それがとてつもなく恥ずかしい行動だったことに気づいた僕は、あわあわと急かしなく目線を泳がせ立ち上がり、目的だった水撒きに逃げるためにサンダルを足に引っ掛けた。