きっと、月が綺麗な夜に。
「そういえば、あたし、このまま毎日ニートみたいにしてて良くないよね?この島って、バイト出来る環境の場所ない?」
朝ごはん中、今日はりょーちゃんが島の診療所のエアコンの修理に行く話をしていた時に、美矢がふと、そう言い出した。
「別に気にしなくて良いのになー、うーん、働き口といっても、俺が思い浮かぶのは海辺の民宿のどっちかと、飯屋と学校近くのカフェくらいかな」
りょーちゃんが提案したのはどれも接客だから美矢に向いているとは思えないし、そもそも、観光シーズンを過ぎたそういった場所に新しい人間の需要があるとは思えない。
「やっぱりそうなるよね。うーん、島の向こう側まで毎日出るかな」
バイトをする、と考えるとそれが1番なのかもしれないが、朝の早い船に乗って帰りも早い船で戻るし、かなり大変なんじゃないだろうか。
3人でうーん、と頭を抱えて考えていた時、僕はふと、あることを思い付く。
「もしかしたら、いい提案が出来るかも」
「お?どうした?良い仕事口があったか?」
意外そうに声を上げたりょーちゃんにうん、と頷いて僕は味噌汁へと手を伸ばした。