きっと、月が綺麗な夜に。


うちの学校のお昼は、小中学生の生徒と教諭が全員集まってひとつの教室で食べるのが日常だ。

用務員の2人組は、猫塚さんが給食だけもらうと用務員室に戻ってしまうことが通常だから、美矢もそれに従うようだけれど。


「みやおねーちゃんこんにちはー!一緒に食べないの?」

「たかひと、こんにちは。うん。あたしはねこじぃと食べるから」


子供たちの中でも美矢に1番に懐いているのは、美矢を灯台の下で共に見つけた漁師の息子、貴人。

美矢の歌声にうっとりと耳を傾けて、夏休みが終わるまで毎日、時には神社だったり、公園だったり、うちにご飯を食べに来たりしていたっけか。

残念そうに口を尖らせた貴人を、姉の千明が「ほら」と促して配膳の列に並べる。


「美矢さんごめんね。また、ギターと歌聴かせてね」

「いーよ全然。可愛いし。あたしのでよかったらいつでも聴きにおいで」


千明もまた、美矢に密かに憧れを抱いているようで、美矢に微笑まれていつもおすまし顔で落ち着いた子が、少女らしい顔でニコニコしていた。
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