きっと、月が綺麗な夜に。
「いただきます」の声と共に給食がスタートするが、昨日の勢いが嘘のように、ケンゴの箸が進んでいない。
「なんだ、どうしたけんけん?好き嫌いか?」
「ちげーし!たけちゃん唾飛ばすなし!」
その様子に武明先生が声をかけるも、ケンゴは機嫌が悪そうに武明先生の唾から給食を守り、きっと睨み上げる。
そして、小さいおかずの鮭に手を伸ばしながらぶつくさと一言。
「俺だけ美矢ちゃんの弾き語り聴いたことない」
……可愛い。なんて可愛い理由で機嫌を損ねているんだ。ほっこりして思わず、無意識に頬が緩んでしまう。
そんな僕の表情に気づいたケンゴは、更に機嫌悪そうに顔をしかめた。
「なんだよ!いいなぁこじろうは!一緒に住んでるから毎日聴いてるんだろ?」
「え、うん。まあ。あの子、毎朝1曲弾くの日課だから、庭の水撒きの時に聴けるけど」
「わはは!けんけんさては嫉妬だな?みゃあ子くんに惚れているんだろう?」
図星を突かれたケンゴは「うぇあ!」と変な声を上げると、鮭を喉にひっかけて咳き込んでしまった。
武明先生はよく言えば天然で素直だが、悪くいえばデリカシーがない。年頃の男の子になんてことを。
「なんだ、どうしたけんけん?好き嫌いか?」
「ちげーし!たけちゃん唾飛ばすなし!」
その様子に武明先生が声をかけるも、ケンゴは機嫌が悪そうに武明先生の唾から給食を守り、きっと睨み上げる。
そして、小さいおかずの鮭に手を伸ばしながらぶつくさと一言。
「俺だけ美矢ちゃんの弾き語り聴いたことない」
……可愛い。なんて可愛い理由で機嫌を損ねているんだ。ほっこりして思わず、無意識に頬が緩んでしまう。
そんな僕の表情に気づいたケンゴは、更に機嫌悪そうに顔をしかめた。
「なんだよ!いいなぁこじろうは!一緒に住んでるから毎日聴いてるんだろ?」
「え、うん。まあ。あの子、毎朝1曲弾くの日課だから、庭の水撒きの時に聴けるけど」
「わはは!けんけんさては嫉妬だな?みゃあ子くんに惚れているんだろう?」
図星を突かれたケンゴは「うぇあ!」と変な声を上げると、鮭を喉にひっかけて咳き込んでしまった。
武明先生はよく言えば天然で素直だが、悪くいえばデリカシーがない。年頃の男の子になんてことを。