きっと、月が綺麗な夜に。


その後はりょーちゃんの冷静な判断で、一旦体育館のもっと屋根の広い所へ場所を避難し、手負いの僕と小さな子供たちと同時にすぐ移動するでなく、島の反対側から回っていた武明先生と2人のお父さんを呼び、学校に合流した。

2人をお父さんとりょーちゃんが家へ、僕は武明先生と共に武明先生の家、つまり、診療所の方へと分かれることに。

お父さんに無事に2人を引き渡せて安心したら、右腕の痛みが一気に襲いかかり、なんだか、晩ご飯を全部吐き出しそうな感覚になりながらも、何とか診療所へ。

学校で合流した時点で連絡を受けていた、島のお医者さんの、武明先生の自慢のべらぼうに美人な奥さんが手際よく僕の右腕を縫合してくれて、あまり大事にならなくて済んだ。

木片が腕に刺さっていたのもあって出血もそんなになく、これなら、千明と貴人の罪悪感も薄くて済むということに安心したらどっと疲れが押し寄せる。

今日はこのまま帰るのは危ないからという判断で、僕は診療所のベッドを借りて一晩過ごすこととなった。

美矢にすぐ戻るって言ったのに、嘘ついちゃったな、ごめん、なんて思いながら、あっという間に僕は意識を手放し、深い眠りに就いた。
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