一匹狼くん、 拾いました。弐
……よかった、ここに結賀と仁がいなくて。もしいたら八つ当たりしてしまう気がしたから。
この消化しきれなくて、なんとも形容しがたい感情を想いのまま発散させて、何か思ってもいないことを言ってしまう気がした。
……それに、気づいてしまったから。
多分俺はあいつらといても一生満たされない。仁みたいに親に見切りを付けられない限りは。それなのにこれ以上一緒にいたら、お互い辛いだけだ。
……まぁアイツらのところ以外に行くとこといったら、緋也の家くらいしかないけどな。
いや、緋也の家に行ったらたしかに衣食住の問題は解決するけど、多分俺の心が満たされないから、意味ないな。
じゃあ一体どこに行けばいいんだよ。
……もう疲れた。
思考を放棄してしまいたい。何もかもなかったことにしてしまいたい。……まぁそんなの無理なんだけど。
「はぁー」
大きなため息を吐く。
……俺ってガキだな。
親父にゴミ以下って言われても、顔しか価値がないって言われても泣いて。こんなんではまるで愛に飢えた子供みたいだ。
……いや、まるでではない。俺は愛に飢えている。
神様は残酷で、俺がどんなにそれを欲しても、決して与えてくれはしない。
「……ゴホッ」
煙草の煙を吸って咳き込む。
苦しくなって咳をするくらいならやめればいいのにそうしないんだから、本当にもうダメだな。
……なんだか親父みたいだな。
吸うのを一時的にやめることはできても、永遠にそうはできない煙草と同じように、親父は俺の心を掴んで離さない。ずっと考えることはなくても、考えたら止まらなくなってしまう。それはまるで、煙草を好きな人が何かがきっかけで、中毒みたいに煙草を吸いまくってしまうみたいに。