一匹狼くん、 拾いました。弐
嗚呼。俺はまた親父のせいで心がめちゃくちゃになっている。
ほんのついさっき、親父にゴミ以下って言われても、顔しか価値がないって言われても泣いてる自分に呆れたっていうのに。
……つら。親父にそう言われたことも辛いけど自分がどれだけ親父に左右されてるのかを実感することの方が、それ以上に辛い。
こんな奴に心を支配されたままの状態で生きるのはあまりに辛すぎる。
「ミカ、こんな奴に涙なんて見せなくていい」
仁が俺の涙を服の袖で拭う。
「お前に一つ言っておく。こいつをゴミなんて思ってるのは、世界中のどこを探してもお前だけだから」
父さんを指さして、仁は断言した。
「そんなことないだろ」
「ある。こいつはゴミなんかじゃねぇ。むしろ宝石だ。代わりなんて誰にも務まらない」
「ゴミクズはお前だよ、ばーか。帰るぞ、ミカ。こんな奴とこれ以上話さなくていい」
そういって、結賀は親指を立てると、それを逆さにした。
「……ありがとう、仁、結賀」
俺は二人に手を引かれて、面会室を後にした。