一匹狼くん、 拾いました。弐
「さて、俺はそろそろ、仁くんの様子でも見に行ってこようかな」
俺達の様子を見ながら、父さんは言う。
「うん。よろしく、父さん」
「ああ。じゃ、またなミカ、結賀くん」
俺達に手を振りながら、父さんは海の家へ戻ろうとする。
「ん、じゃあね」「はい」
俺と結賀は笑って、海の家へ向かう父さんに手を振り返した。
「なぁ結賀」
「んー?」
「伊織は? なんで伊織は、結賀と一緒にいんの?」
顔を俯かせて、結賀はだんまりを決め込む。
まずいことを聞いてしまったのだろうか。
浜辺にしゃがみこんで、結賀は口を開いては閉じた。
「ごめん、結賀。言いたくないなら、言わなくていいから」
慌てて結賀の隣に腰を下ろして、控えめな声で口にする。
「……俺と、あいつの関係は説明しづらい。俺とあいつはたぶん、運命共同体みたいな感じなんだと思う」
「え、それってどういう」
「俺の母親、伊織の父親と幼なじみで。俺、伊織とは昔から家族ぐるみの付き合いがあったんだ。それでその、俺の母親、ある日伊織の父親とか」
か、から先の言葉を結賀は言わなかった。いや、言えてなかった。
結賀は泣いていて、説明をするのすら難しいようだった。