一匹狼くん、 拾いました。弐
俺と結賀は決して恋人なわけじゃない。そもそも俺はミカが好きだし。
でも俺と結賀はお互いに女嫌いだから、友達以上の関係ではあるんだよな。
「結賀、あの、俺は……」
なんて言えばいいかわからなくて、言葉を詰まらせる。
俺は結賀から告白されたわけじゃない。それでも、華龍には俺の他に結賀しか女嫌いはいないし、お互いの恋愛観が一致していたから、いやでも気づいてしまった。
結賀が俺に、好意を持っているんじゃないかと、勘づいてしまった。
そして、今日手を握られて、それが確信に変わった。
「今は何も言わなくていい。ミカのことと仁の母親のことが解決したら、俺に時間作って。俺の気持ち、ちゃんと伝えるから」
結賀のその言葉がどういう意味か分からないほど、俺は鈍感じゃなかった。
「ああ、作る。……返事は、すぐ出来るかわかんないけど」
「すぐしなくていいよ。悩んでくれた方が、俺は嬉しい」
思わず、頬がかあーっと赤く染まる。
「……わ、わかった」
「照れてんなら、少しは期待していいのかもな」
「はっ? ……別に照れてねぇし」
結賀の言葉を慌てて否定する。
「はいはい」
俺の言葉を流して、結賀は満足げに笑う。
「み、ミカ俺らの考え聞いてひかなかった?」
からかいが続くのが嫌で、慌てて話題を逸らした。
「別にひいてない。まぁ驚きはしたけど、そんくらい」
首を振ってミカは言う。
「ミカは誰かの考え聞いてひくことなんてないよなー。優しいし」
結賀が言う。
「……ありがとう」
「俺はミカがあまりに優しすぎて心配になるけどな」
ミカは父親にも葵にももっと怒っていいハズなんだ。それなのに……。
「それは俺もだわ」
うんうんと、結賀は頷く。
「え、俺そんな?」
「そうだよ。お前は葵とか父親にもっと怒れ!」
ミカの両肩を掴んで、俺は叫ぶ。