一匹狼くん、 拾いました。弐

 泣きやめなんて思ったところで涙が止まるハズもなくて、結局、俺は一時間くらい泣いていた。

 はぁ。

 涙を拭ってから、ズボンのポケットからスマホを取りだす。

 真っ黒なスマホの画面に写った俺の瞳は、リンゴみたいに赤く腫れていた。……どうすんだよ、これ。

 突然、壊れそうなくらい強い勢いで、屋上のドアが開いた。

 驚いてドアの方を見ると、そこには息を切らしている岳斗がいた。

「はぁっ、はぁ」

「が、くと……?」

「ああ、よかった!ミカいた!」

 両膝に手をつけて息を整えながら、安心したように岳斗は言った。

 いた?

「……探してたのか?」

「ああ。楓が、ミカが下駄箱に靴はあるのに教室に来てないって言うから、二手に分かれて探してたんだよ! お前昨日俺達のせいで門限ぎりぎりに帰ったじゃん。だから、何か授業に出るのも嫌になるようなことがあったのかと思って」

 ――いた。

 俺を助けてくれる人は、ここにちゃんといた。

「何かあった、どころじゃない」

 つい、そんな言葉が口をついて出てしまった。


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