一匹狼くん、 拾いました。弐
「……聞かねぇの?」
スーパーに向かって歩いている途中、小声で俺は言った。
「何が?」
「……俺、一学期の終業式休んだじゃん。高2の5月くらいからやっとまともに学校行き始めたのに。それに最近、トイレと風呂の時しか部屋から出ないし」
目を丸くしてから、母さんは作り笑いをして言う。
「私にそれ聞く資格ある?」
「えっ」
「……だって俊平からすれば、私はお父さんよりマシってだけなんじゃない? そう思われてるってわかってるのに、母親面してそんなこと聞けるわけないじゃない」
悲しそうに目じりを下げて、母さんは言う。
ぶっちゃけた話、母さんがいうことはほとんど当たっていた。
俺は母さんを信じきれていない。味方なんだとは思っている。でも、死にかけるまで二人で暮らそうっていてくれなかったから、そのことで不信感を抱いている。