一匹狼くん、 拾いました。弐
「え、どうした?」
岳斗の返事を聞いて、自分がまずいことをしていることに気づいた。
隠さないといけないのに。どうしよう。
「…………」
「とりあえず俺、楓に連絡するわ。楓も何があったが気になってると思うし」
黙りこくっている俺を一瞥して、岳斗は言う。
岳斗がズボンのポケットからスマホを取り出す。
咄嗟に岳斗の腕を掴んだ。
「連絡はしていいけど、ここには呼ばないで。楓には、言えない」
女の楓に、あんなこととても言える気がしなかった。
俺の手を見つめてから、岳斗は口を開く。
「……じゃあ、楓になんて連絡する? 今授業中だし、教室戻るようにいうか?」
「うん。ごめん、急に掴んで」
慌てて手を離す。
「……いや、全然平気」
岳斗が俺の隣に座り込んで、スマホの画面を俺に見せる。
岳斗は俺に覗かれているのを気にもしないで、LINEのトーク画面を開いた。
画面の一番上にある楓のアイコンをタップして、岳斗は文字を打つ。
『ミカ見つかったから、楓は授業戻って。さすがに三人ともサボるわけにはいかないから』と、岳斗は送った。
『わかった。次の授業までにはちゃんと、ミカ教室に連れてきてね!!』
楓から秒で返信が来る。……心配してくれてたんだな。
「ミカ、あとでちゃんと楓に謝っとけよ?」
「うん」