一匹狼くん、 拾いました。弐
まぁ、罪悪感を感じてくれているだけ親父よりよっぽどマシだし、決して母さんが嫌いなわけではないが。
「……俺が母さん信用してないって、知ってたの?」
「そりゃあ分かるわよ息子だし。それに、あんな環境にいたら、母親は味方だってわかっててもそう簡単に信用できないのも想像つくしね」
フードの上から俺の頭を撫でて、母さんは笑う。
「母さんは、なんで親父と結婚したの」
「んースーパーとかで話せるようなことじゃないから、ファミレスでも行って、ゆっくり話しようか」
何も言わず、俺は頷いた。
「いらっしゃいませー、何名様ですか?」
ウエイトレスの高い声が耳に響いて、香水の匂いが鼻につく。
「2名です」
母さんが言う。
顔を隠しているから気にされているのか、ウエイトレスから視線を感じた。俺は慌てて目を逸らす。女の人と顔を合わせるのはあまり好きではない。楓を思い出すから。
すぐに2人用のテーブルと椅子がある所まで案内された。母さんが椅子に座ったあと、俺はテーブルを挟んで向かいの椅子に腰を下ろした。
俺はこれから、どうすればいいんだろう。楓のことも、華龍のことも。どうしたらいいんだろう。