一匹狼くん、 拾いました。弐
バーベキューはやはり、俺と仁と結賀と緋也と俺の両親ですることになった。
海の家のそばにテーブルを置いてから、その隣に俺達はコンロを置いた。
海の家にあった四人用のを二個並べたテーブルには、クーラーボックスと紙コップと皿が置かれている。あと、箸とタレもそのそばに置かれている。皿はプラスチック製で肉と野菜が置かれたのと、何も置かれていない紙のやつがある。
コンロの火をつけて肉を焼こうとしていたら緋也が近づいてきて、俺に声をかけてきた。
「ミカ!!」
「あ、緋也」
「久しぶり」
「うん。……ごめん、ずっと連絡してなくて」
「全くだよ。親友の僕になんも言わないなんて、本当に困ったもんだ」
「……心の整理がつかなくて、連絡するどころじゃなくて」
母さんと父さんが飲み物をコップに入れてくれていたから、俺は二人を紹介する前に葵の話をすることにした。
「仁には連絡したのに?」
「いや、葵が仁に連絡してくれた」
「ああ、そうなの? そういえば葵は? なんで今日はいないの? ミカとすごく仲良いのに」
「あいつが裏切り者だからだよ」
俺の隣にいる仁が、地面を睨みつけて吐き捨てる。
「え、何それ?」
「……俺、あの父親と血繋がってなかった。あいつの本当の子供は、葵で。あいつは顔が気に入らなかったから、葵を捨てて俺を孤児院から引き取ったらしい」
「え、それなのに葵ずっとあんな嘘ついてたの?」
「うん。俺、葵のことずっと信頼してたからまだ信じられなくて。実感わかない」
「……そうだよね。僕も信じられないな」
「大人なんて信用するもんじゃねぇよ。二、三十代ならなおさら」
仁は不満そうに、口をへの字に曲げた。