一匹狼くん、 拾いました。弐
フォンダンショコラを食べて歯磨きをすると、俺達は寝室にいった。寝室にはダブルベットが二つあったので、それをくっつけて四人でトランプをしたりUNOをしたりしてから、みんなで寝転がった。
くっつけたのは、誰が誰の隣で寝るか決まらなかったから。仁も緋也も俺の隣で寝たいって言ってくれて、それなら寝る場所はじゃんけんで決めて、 みんな近い場所で寝ようってことになった。
じゃんけんの結果、結賀と俺が真ん中で、仁と緋也が右端と左端に寝ることになった。仁とたまたま隣同士になったから、結賀は嬉しそうに笑っていた。そんな結賀を見て、仁は頬を真っ赤にしていた。お似合いって感じがした。
修学旅行や卒業旅行でもこんな感じに寝たり遊んだりするのかな。……修学旅行か。今まで行ったことないけど、今年は俺も行けるのかな。本当の父さんと母さんに行きたいって言ったら。……行きたいなぁ。
天井を見上げていると、今日起きた様々なことが頭によぎった。まさか仁と結賀にも性犯罪にあいかけたことを話すことになるとは思わなかった。
岳斗以外には話せないと思っていたんだけど、話せたな。
「ミカ、寝れないか?」
「うん。結賀も?」
「ああ。父さんが心配で寝れない」
「そっか。何かあったら連絡くるのか?」
俺の顔を見ながら、結賀は頷く。
「ああ。伊織が俺の家に泊まってくれてて、何かあったら連絡してくれることになってる」
本当に助け合っているのか。嘘か疑ってたわけではないけど、今の言葉を聞いてやっとその実感が湧いた。
「連絡来たのか?」
「来てない。だから多分平気。それにしても、仁も起きてるのかよ。まともに寝てるの緋也だけじゃん」
「……不眠症なんだよ。お前もミカもよく知ってるだろ。おじさん平気?」
「ああ、平気。ありがとな」
「ん」
首を動かして仁は頷いた。