一匹狼くん、 拾いました。弐

「ミカって食べられないものある?」

 仁が首を傾げて言う。

「食べられないもの?」

「ああ。俺やアイツが作ってたのはちゃんと食べてたけど、商店街のたこせんとかかき氷は好き好んで食べないやつも居るから、聞いときたいと思って」


「……たこせんって何?」

「たこせんはたこのせんべいのこと。お菓子。嫌いなものより、アレルギーがあるものの方が重要じゃないか?……何かある?」

 俺を見ながら、結賀は首を傾げる。

「アレルギーじゃないけど、今はお酒はノンアルでも飲みたくない」

 葵に騙されてたことを思い出しそうだから、飲みたくない。

「ああ、俺達もそれは飲む予定ないから大丈夫。他にあるか?」

 仁を見て、俺は首を振った。

「いや大丈夫。ただ俺、甘いもの仁と葵が作ったのしか食べたことないから、商店街にそういうのあったら沢山食べたい」

「おっけー。お金はたぶん話すれば悠介さん達から貰えると思うけど、貰い行く?」

 え? 話の内容に驚いて、俺は結賀を見た。

「え、あ……そっか。貰えるのか」

 義父さんや義母さんと暮らしてた時はお小遣いって貰えないものだと思ってたけど、もうそうじゃないんだよな。

「ミカが気を遣わないなら俺達で奢るんでも全然いいんだけど、そうじゃないなら貰いに行った方がいいかもな」

 俺の銀髪を触りながら、仁が提案する。

「……貰いに行く」

「ん、わかった。じゃあそろそろ寝るか」

「うん。おやすみ」

「「おやすみ」」

 結賀と仁の声を聞いてから俺は目をつぶった。

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