一匹狼くん、 拾いました。弐
死ぬまで消えない証。
隣にいる結賀を見て、俺は口を開いた。
「なぁ結賀……」
「ん?」
「こんな考え心底したくねぇんだけど……」
ミカや緋也に聞こえないように、俺はLINEを開いて結賀にメッセージを送った。
『ミカの義理の父親は、ミカを性的な目で見ている』と。
「……やっぱり仁もそう思うか。まぁ、そう考えるのが自然だよなぁ。いつからだったんだろうな」
「……下手すると拾った時から。ロリコンと同じ類だろ。好きだから支配したかったんだろうな。……好きだから可愛がるならまだいい。でも、好きだからってミカが怖がってたのとか辛い思いをしてたのなんて関係なしにミカの心も体もあいつは支配しようとして……っ」
『……散々暴言を吐いたのも、ミカを反抗しない人形のような子にしてから、いつまでも性的に可愛がるためだったんだろうな』
結賀から来たラインをみて、俺は猛烈な吐き気に襲われた。
「うっ……ゲホ!!」
慌ててトイレに駆け込んだら、口から一気にモノが溢れた。瞳から涙が溢れ出す。本当に、気持ち悪さしかわいてこない。……それでも犯される前だっただけまだマシなのだろうか。俺達と会う前にレイプなんてされていたら、あいつはきっと……自殺していたから。
余りに歪んだ愛情だ。常軌を逸している。
本当に、一ミリも思考回路が理解できない。
ミカの義理の父親が親友に絵を盗まれたというのはきっと嘘ではない。絵のモデルとしてミカを探したのもきっと嘘ではないだろう。
そしてミカの父親が、出会った瞬間にたった五歳のミカに惚れたのもまた事実なのだろう。
……クソ野郎。
好きならもっと可愛がれよ。あいつがどれだけ俺達の前で泣いたと思っているんだ。
どれだけお前のせいで、傷ついたと思っているんだ。
……このことはミカには伝えられない。ミカが義理の父親のことを嫌えていないからって、伝えるべきではない。
いや、言ったらダメだ。言ったら、きっとミカは壊れてしまう。